オンボーディングの計画と実施【採用定着コラムVol.8】

■■■ 採用定着コラム ■■■ 

 

【中小企業の中途採用が成功するためのポイント Vol.8】

全24回にわたって、中小企業の中途採用が成功するためのポイントについてわかりやすくお伝えしていきます。一気に改善は難しいので、コラムの内容をヒントに「少しずつ」の改善を目指していきましょう!

 

≪本日のテーマ≫

第8回 オンボーディングの計画と実施

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「新入社員が職場に馴染むまでに時間がかかる」

「せっかく採用した人材が短期間で退職してしまう」

といった課題を抱えていませんか?

オンボーディングは、新入社員が早期に職場に適応し、戦力化するために欠かせないプロセスです。今回は、OJTとの違いを整理した上で、効果的なオンボーディングプログラムの設計と新入社員の早期定着を促進する方法を解説します。

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~オンボーディングとOJTの違い~

 

(1)オンボーディングとは

オンボーディングは、新入社員が職場環境や企業文化に適応し、長期的に定着できるようサポートするプロセスです。主に会社のビジョンやルール、チームの関係構築に重点を置いています。新入社員が「この会社で働ける」という安心感を得ることが目的です。

 

(2)OJTとは

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、新入社員が実際の業務を通じてスキルや知識を習得するためのトレーニング方法です。職場で先輩社員や上司の指導を受けながら、実践的なスキルを学ぶことを目的としています。

 

(3)違いのポイント

・オンボーディングは「職場環境や企業文化への適応」を重視するのに対し、OJTは「実務スキルの習得」を目的としています。

・オンボーディングでは職場全体で新入社員をサポートし、企業文化や価値観、職場環境への理解を促しますが、OJTは具体的な業務を実際に行いながらスキルを学ぶものです。

・オンボーディングは職場全体を対象とした包括的な適用と定着のためのプロセス全般であり、OJTは個別のタスクに特化したトレーニング方法です。

両者を組み合わせることで、新入社員の職場適応とスキル習得を同時に実現できる点が理想的な活用方法と言えます。

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~効果的なオンボーディングプログラムの設計~

 

(1)明確な目標を設定する

オンボーディングプログラムを設計する際には、明確な目標を設定することが重要です。例えば、「3か月以内に基本的な業務を独力でこなせるようにする」「6か月以内にチームの一員として成果を出せる状態にする」といった具体的な目標を掲げることで、プログラム全体に一貫性が生まれます。

 

(2)ステップごとに計画を立てる

オンボーディングは段階的に進めることが効果的です。初日から1週間までは「会社に馴染む期間」として、会社の文化やルール、設備の使い方などを説明します。その後、1か月以内には基本業務のトレーニングを完了させ、3か月以内に実践的な業務に取り組むなど、具体的なスケジュールを立てましょう。

 

(3)メンター制度を活用する

新入社員に経験豊富な社員をメンターとしてつけることで、業務面だけでなく精神的なサポートを提供できます。メンターは、新入社員の疑問や不安に答えるだけでなく、職場の人間関係をスムーズに築く「橋渡し役」としても機能します。この制度により、新入社員は職場に早く馴染むことができます。

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~新入社員の早期定着を促進する方法~

 

(1)初日の印象を大切にする

新入社員が初日に感じる職場の印象は、定着率に大きな影響を与えます。初日に必要な書類や業務ツールを準備しておくだけでなく、歓迎の言葉やオリエンテーションを通じて「自分を歓迎してくれている」と感じられるようにしましょう。また、簡単な歓迎ランチやチームメンバーとの顔合わせを企画することで、最初の不安を和らげることができます。

 

(2)定期的なフィードバックを行う

新入社員が成長を実感し、課題を克服できるよう、定期的なフィードバックを行いましょう。週次や月次で面談を行い、業務の進捗や疑問点を確認することで、新入社員のモチベーションを維持しやすくなります。また、成果を褒めるだけでなく、改善点についても建設的なアドバイスを行うことで、成長を後押しします。

 

(3)職場全体でのサポート体制を構築する

オンボーディングは、新入社員の上司やメンターだけでなく、職場全体で取り組むべきです。チーム全員が新入社員をサポートする姿勢を持つことで、職場環境全体が協力的な雰囲気になります。例えば、定期的なチーム会議で新入社員の状況を共有したり、チームメンバーが積極的にフォローする仕組みを作ると効果的です。

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≪本日のまとめ≫

オンボーディングは、新入社員の早期定着と戦力化を目指す上で非常に重要です。

OJTとの違いを理解した上で、オンボーディングは職場環境への適応に、OJTは実務スキルの習得に焦点を当て、それぞれを効果的に活用することが求められます。

明確な目標を持ったプログラムを設計し、メンター制度や定期的なフィードバックを活用することで、新入社員が安心して働ける職場を実現しましょう。

今回のポイントを活かし、効果的なオンボーディングを実施してみてください。

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*次回は、第9回「社内紹介プログラムの活用」についてお伝えします。